コネクタテレビとは、アートや文化の現場にいろんなカタチで関わる様々な人々の動きを紹介していく番組です。
ベルリン自由大学の修士課程の学生、サシャ・クリンガーさんが、日本に滞在中に撮影され、ベルリン帰国後に編集した、旧神戸移住センターについてのレポート。
カメラ:サシャ・クリンガー、上球音 編集/字幕:サシャ・クリンガー
映像のタイトルから連想されたのは、ある場所から別の場所へ歩くという単純なイメージ、そしてウォーキングという語感のもつ何か健康的なイメージ、ということくらいでした。それを映像として見るだけでも結構おもしろいので見始めたのですが、実際は、かなり予想と反した内容で、ブラジル移民について取り上げられています。ウォーキングというのは、旧神戸移住センター(現在は海外移住と文化の交流センター)から、もう二度と帰ってくることはないかもしれない日本を離れる最後の場所である港まで、その道のりを辿ってみようということなのでした。また、ウォーキングイベントは、毎年行われるブラジル移民祭(2014年時点で11回目)のなかの催しのひとつとして催されたものです。2014にも開催されました。この映像が撮影されたのは2008年ですが、この年は、神戸港からブラジルへ初めて移民が出発した1908年から100年、という年でもありました。 おそらく初めてのブラジルへの移民に際しての話だと思うのですが、日本中の人々が神戸港を出発地として船に乗り、45日間の厳しい船旅の末(船内での出産や死亡がありました)、ブラジルに渡ったということが映像で触れられています。 軽い気持ちで見始めた映像ですが、いままで知らなかったを知ることができ、またその内容の割には(?)カジュアルなウォーキングという感じもある、面白い作品だと思いました。「この道を二度と歩くことはないかもしれない」というのは、どの道でそう思っても不思議ではないし、いつ思っても不思議ではないよなぁと少し身が引き締まりました。